予防歯科とは?
予防歯科とは、“歯が病気になってから治療する”のではなく、そうなる前にしっかり予防して歯を病気から守ろうという考え方で、現在、日本でも様々な形で予防歯科の重要性が啓蒙されています。
予防歯科により大切な天然歯が失われるのを防ぐことは、お口の健康のみならず、全身の健康や長寿にも繋がります。歯を失うことで口腔機能の低下を招く“オーラルフレイル”が問題視されていますが、ものを噛む力や滑舌の悪さはその方の食生活だけでなく、社会生活にも悪影響をおよぼす恐れがあります。
つまり、健康的に長生きするためには“お口の健康”が大事で、それを実現するためには予防歯科という考え方が欠かせません。
予防歯科先進国、スウェーデンをご存知ですか?
日本と比べて欧米は予防歯科先進国と言われていますが、なかでもスウェーデンが有名で、予防歯科に対する取り組みの理想形としてよく取り上げられています。
政府主導で予防歯科を推進しているスウェーデンでは、19歳までは定期検診・治療がともに無料で「予防のために歯科医院へ通うのは当然」という意識を浸透させることに成功しました。
その結果、スウェーデンの高齢者(80歳)の平均残存歯数は20本となっていて、国民のほとんどが虫歯に悩まされずに済んでいると言われています。
なお、日本の平均残存歯数は14本と大きく差が開いていて、こうした現状から国内でも予防歯科を推進する取り組みが強化されています。
「虫歯になり、歯を削る。治療部位がまた虫歯になり、さらに大きく歯を削る」という悪循環から抜け出して、かけがえのない天然歯を守り続けるためにも、“治療”から“予防”へ意識をシフトチェンジして、いくつになってもご自分の歯でものを噛み続けられるようになりましょう。
予防歯科は歯科医院と患者様の二人三脚で取り組みます
予防歯科は大きくご家庭での“セルフケア”と、歯科医院での“プロケア”に分けられます。
ご家庭で毎日ブラッシングしていただいて、普段の汚れをしっかり落としていただくとともに、3~4ヶ月に1回のペースで歯科医院へお越しいただき、口腔内の検査やPMTCなどの専門的なクリーニングを行って、セルフケアだけでは落とし切れない汚れをきれいに除去します。
セルフケアとプロケア、どちらが欠けてもお口の健康を維持することは難しく、そういう意味では予防歯科とは“歯科医院と患者様が二人三脚で取り組むもの”であると言えます。
予防歯科のメリット
予防歯科の一番のメリットは、虫歯・歯周病といった歯を失うことに繋がる病気が予防できることです。ですが、それ以外にも様々なメリットがあるものなのです。
今のお口の健康状態がわかる
予防歯科へ通い続けることで、病気だけでなく、歯並びや噛み合わせ、親知らずなどのトータルにお口の健康状態を知ることができるようになります。
歯に対する意識が高まる
定期的に歯科医院へ通院することで、歯に対する意識が高まり、セルフケアの向上や食生活の改善などに繋がり、お口の健康・きれいな歯がキープできるようになります。
大切な天然歯が守れる
「虫歯になっても治療を受ければ大丈夫」とお考えかもしれませんが、歯を削った時に入れる詰め物・被せ物は、どんなに性能が高いものでも天然歯には勝てません。
予防歯科で病気を未然に防ぎ、歯を削るなど大がかりな治療を回避することで、大切な天然歯をそのままの状態で守れるようになります。
トータルコストが安くなる
病気になって大がかりな治療を受けた場合と、年に2~3回、定期検診を受けた場合の費用を比較した時、トータル的に定期検診を受けた場合の方がコストを抑えられるため、予防歯科を受けられた方がお得だと言えます。
当院の予防歯科の内容
最新のメンテナンスシステム「EMS」
エアフロープロフィラキシス マスター
「エアフロープロフィラキシス マスター」は、スイスのEMS Dental社が世界有数の歯科専門家と協力して開発したエアフロー(ジェットクリーニング)の機器です。虫歯・歯周病の予防とメンテナンスにおいて、高い効果を発揮します。
微粒子パウダーが水とともに噴射され、プラーク、歯石、さらには着色を、歯や歯茎を傷めずに効率的に除去します。
痛みもなく、患者様のご負担・ストレスが軽減されている点も大きな特徴です。
「痛みのない、歯や歯茎を傷つけない予防・メンテナンス」をご希望の方は、ぜひ一度当院にご相談ください。
これまでのクリーニングとの違い
- プラーク・歯石を効率的に除去できる
従来の予防・メンテナンスでは歯石を落とすことに重点が置かれていましたが、「プロフィラキシス マスター」はプラークにもしっかりとアプローチする、新しいクリーニングと言えます。
※プラーク、歯石とは・・・
「プラーク」とは、粘り気のある細菌膜のことを指します。虫歯の原因となる虫歯菌、歯周病の原因となる歯周病菌を多く含んでいます。歯ブラシでの除去は可能ですが、磨き方の癖などにより、セルフケアのみで完璧に取り除くことは困難です。
そして、プラークが石灰化し、歯や歯と歯茎のあいだなどにこびりつくのが「歯石」です。こちらは歯ブラシで落とすことはできません。歯石そのものが悪さをするわけではありませんが、プラークが付着しやすい性質を持つため、虫歯菌・歯周病菌の繁殖の温床となります。
毎日のセルフケアに加えて、プラークと歯石を定期的に歯科医院で除去することが、虫歯・歯周病の予防になります。
- 痛みが少ないため、快適かつ安全にメンテナンスできます。
- 治療時間が圧倒的に短縮されます。
- 微粒子パウダーを吹き付けて汚れを落とすため、歯のエナメル質を傷つけることがありません。
- 歯と歯の境目などの細かい部分の着色までしっかりと落とせます。
- パウダーの種類が豊富です。
など。
こんな方にオススメ
- 痛みや不快感が苦手だった方
- 飲食や喫煙などが原因で着色の汚れが気になっている方
- 矯正歯科治療中の方
- 口臭が気になっている方
- ホワイトニング効果を長持ちさせたい方
歯石取り(スケーリング)
歯に付着した歯石を専用器具で除去する治療です。歯石は歯周病の大きな原因となりますので、定期検診でこれを取り除くことは、歯周病予防のために欠かせないと言えます。
PMTC(歯のクリーニング)
歯科医院で行う専門的なクリーニングで、歯垢(プラーク)や歯石などの汚れをきれいに取り除いて、お口の中を隅々まできれいにします。セルフケアでは落とし切れない汚れが取り除けて、口腔内がとても清潔になりますので、お口の中がスッキリさわやかになるという効果もあります。
フッ素塗布
歯の表面にフッ素を塗って、歯質を強化して虫歯から守ります。小さなお子様だけでなく、年代を選ばずに様々な方に効果的な予防方法です。
シーラント
虫歯になりやすい歯の溝を、フッ素の入ったレジン(歯科用プラスチック)で塞いでおくことで虫歯を予防する方法です。生えたての6歳臼歯などに効果的です。
ブラッシング(セルフケア)のアドバイス
磨き残しの量など、セルフケアの成果を評価したうえで、その方のお口に合ったブラッシング方法や清掃道具の選び方などをアドバイスします。
予防歯科は定期的な来院が重要です。
一度歯科医院でクリーニングを受け、お口の中がスッキリ清潔になっても、それで満足してはいけません。毎日きちんと歯を磨いていても、歯垢(プラーク)などの汚れはだんだん溜まっていき、3~4ヶ月経つとまた元通りの状態になってしまっていることが考えられますので、予防歯科は“一度受けたら終わり”ではなく“定期的に通い続けるもの”とお考えになられて、お口の病気予防に努めるようにしましょう。
定期的にお越しいただくことで、万が一に虫歯や歯周病などの病気になっていたとしても、早い段階で治療できるので、天然歯に負担をかけない簡単な治療で治癒をはかることが可能になります。